フランス公立音楽学校存続危機?!

新学期を目前とする中、France Musique (クラシックラジオ番組)のサイト掲載記事から一つ。

 

前置きしておきますが、暗い話です、、、笑。

 

実はフランスの公立音楽学校が存続危機にあります。

と言ったら大げさに聞こえるかもしれませんが、この状況からそうなることを想像せざるを得ません。

「2017年に予定されていた音楽教員採用試験が再び延期!」

いわゆる音楽教師の地方公務員採用試験です。この試験に受かると音楽教師は本採用となり色々な面で安定が保障されます。

 

なぜ署名運動が起きるほど今回の試験延期が問題視されているのか。それは、2011年以来採用試験が開催されていないことが理由に挙げられます。つまり2011年以降音楽教師は正規雇用になる権利さえも与えられていないわけです。

 

私自身フランスで働き始めて9年になりますが、音楽家を取り巻く状況が年々厳しくなっている、と感じています。以前はよくあった残業手当のようなものはここ数年来一切なくなり、同僚の授業時間数が予告なしに削られたり、少ない生徒数のクラスが廃止になったという話を耳にしたり、最近ではあらゆる理由をつけて器楽の個人授業を廃止し、よりお金のかからないグループ授業への動きも見られたり、、、。

 

正規雇用を減らすということはこのように役所の思い通りに事が進みやすくなることを意味します。

 

学生を終えてから教師になるために試験、また試験と受け続け、やっと指導者としての資格を得ても正規雇用の道は程遠く…。このような現状からプロの音楽家になりたいと希望する学生は少なくなってきている、と記事の中で現役教師が述べています。

 

財政難の打開策の一つとして音楽学校への登録料値上げの話も聞こえますが、それでは経済的な理由で音楽が学びたくても学べない、という不平等を生む結果に繋がり『すべての国民が音楽専門教育を受ける権利』という他国にはない利点を失うことになりかねません。

 

今私たちにできることは反対、不満の声を上げ続けること。何も変わらないかもしれませんが、今回の署名運動のように一人一人が『意思を示すこと』が大切だと思います。

 

 

フランスの公立音楽学校の新学期

日本滞在約1ヶ月。

 

Assomption 《聖母の被昇天》というカトリックの祝日を含んだ3連休を利用してのピカルディー地方への小旅行を経て、

 

私はやっと重い腰を上げて2016-2017年度の新学期の準備に取り掛かることにします。

 

この機会に少しだけフランスの公立音楽学校の新学期について説明させて頂きます。

 

今年のフランスの公立学校の新学期は9月1日木曜日ですが、音楽学校の新学期は大体その2週間~3週間後。音楽学校によって異なります。

 

私の場合は今年度から3つの音楽学校で働くことになった為(意に反してそうなってしまった経緯はまた後日…)、3回新学期を迎えることになります。

 

新学期までの流れは学校によって様々ですが、大体の学校で新学期前に全教師対象の会議が行われます。そしてその翌週にはそれぞれの教師と保護者の面談が個別に組み込まれていますが、面談といっても長々とお話しするためのものではなく、器楽レッスンの曜日及び時間をこども達の学校の時間割や他の習い事の時間を考慮しながら決めるためのものです。

 

既におわかりのように、FM【フォルマシオン・ミュジカル】教師陣にとってこの面談が行われる週は小休止です。(その後1年間続くFM授業の準備を考えたらこの小休止は当然だわ!と思う私はフランス人の思考になってしまったのでしょうか…笑)

 

 

面談の週を終え、いよいよ子供達にとっての新学期が始まります。

 

 

※ 画像はフランス国民教育省から発表された地域別(A・B・C)の休暇と新学期の日程表。パリはCゾーン。来年2017年の夏休みは7月9日からなんて遅すぎる、とこれを見た(私を含む)多くの教員たちは不平不満を述べています。年間通して3ヶ月半のヴァカンスがありながら不満を言うなんて!とのお叱りの声が聞こえてきそうですね…。