ブログを開設して1年以上が経ちました。
これまでの記事を読み返してみるとフォルマシオン・ミュジカルについて説明した記事がないことに気づきました。ブログを読んでくださっている方の中には「フォルマシオン・ミュジカルって何?」と思っている人もいるのでは。ということで今回の記事のテーマは、
『無知な人のためのフォルマシオン・ミュジカル入門』
なんて失礼な!という声が聞こえてきそうですが、私もそう思います 笑。 実はフランスで有名な入門書シリーズのタイトルを拝借したのです。ワインや音楽、歴史などあらゆる分野の入門書が出版されていますが、実際のタイトルは日本語訳よりも少しきつ~く感じます。フランス人の友人がこの本を初めて目にしたときは「ばかにしているタイトルだ」と思ったとのこと。数ヶ国で出版されているのをみると、このショッキングで尚且つ印象に残るタイトルがヒットにつながったのかもしれませんね。ちなみに前出の友人も日本語を学ぶために一冊購入し、「基礎中の基礎が完結にまとめられていてわかりやすい」と今では私に勧めるまでに 笑。
ソルフェージュ入門書もありますが、その他にもフェイスブックやマリーアントワネットの入門書も!
話が大幅にそれましたので軌道修正を…。
まずフォルマシオン・ミュジカル Formation Musicale (音楽の形成、以下FM)とは、1978年以降フランスのすべての公立音楽学校で第一課程入学の7歳から履修義務とされている、日本のソルフェージュに代わる学科の事。
なぜこの『ソルフェージュ改革』が起こったのか?
それは、これまでのソルフェージュ教育では、テクニック向上には役立つものの実際の音楽・演奏とのつながりがあまりない、、という問題があったから。
フォルマシオン・ミュジカルの指導内容を一言で説明するとすれば、「音楽家に必要とされるあらゆる能力の基礎形成を目的とした《総合的音楽基礎教育》」。総合的音楽基礎教育とは、これまでのソルフェージュ能力訓練(リズム読み、音読み、記憶、視唱、聴音、音楽理論)に音楽史、楽曲分析そして音楽創作が加えられたもの。
そう!FMでは技術だけではなく、幅広く色々な事を学習するのです!!
かわったのは指導内容だけではありません。ソルフェージュでは各学習項目における技術向上・基礎知識習得を目的とし、それぞれの課題を別々に学習していたのに対し、FMでは実在する音楽作品を軸にし、先に挙げた各学習項目と関連付けながら学習します。
このことは、器楽を含めた音楽を教える上での基礎となる考え方だと思います。
なぜなら私がフランスで学生の頃、和声や器楽などの他の授業でも“練習問題”や“練習曲”を実際の作品と関連付けずに与えられたことはほとんどなかったから。
テクニック向上のための練習問題に取り組むときも、常に【音楽を意識した学習】をすること。
加えて、使用する音楽作品は様々な時代、作曲家、国、楽器編成、形式、ジャンル、、、と、とても幅広く、この学習を7歳から10年以上毎週続けたら、自然と…
『音楽的な耳』=『知的な耳』
が形成されます。このような耳の形成は職業音楽家にとって必須であることは言うまでもありませんが、プロにならなくとも一生涯通して音楽を楽しむことが出来る耳を持つ『レベルの高いアマチュア』育成にもつながります。
演奏家にとってもっとも大切な存在である「聴衆」、コンサートホールに足を運んでくれる「聴衆」が育つ。結果、、、
『音楽界がさらに盛り上がる』
コンセルヴァトワールに通う子どもたちの中で、職業音楽家を目指す子は本当にごくわずかです。だからこそ、私たちのような音楽を生業にしている者にとって、長い目で見て将来の音楽界の発展に繋がる教育が必要だ、と私は思います。
ということで、これからも微力ながら日本でフォルマシオン・ミュジカル指導法を広める活動を続けていきたいと思っております。