言語・音楽教育に有益:仏保育園の音楽教育が日本に

クリスマス休暇中です。

 

 

 

 

私は、と言いますと、、、普段はあまり行けないコンサートやスペクタクルへ出かけ、久しく会ってない友人や恩師と時を過ごし、興味がある分野をMoocで受講し、なかなかできない手間のかかる料理に挑み、ようやく重い腰を上げてお掃除をし始め、生徒の成績表の記入に取り掛かり、2月のDUOコンサートに向けての準備を開始して、、、等々。したい事、しなければならない事を取り組みながらゆったりと過ごしています。

 

他に今年中にしておきたいことはないかしら?と考えてみたらありました!

 

ホットワイン!!

クリスマス市で必ずといって良いほどある「ホットワイン」の屋台。こんな風に雑に入れるからコップはベタベタ…

 

したい事、というより味わいたいもの。フランスの冬の風物詩でもあるホットワインを、今年は一度も飲んでいない事に気づきました。もちろん自分で作れますが、寒空の下で頂くのが一番美味しい~!と思っています。ただ私好みの、甘さ抑え目のスパイシーなホットワインに出会う事はまれですが。

 

 

今回は、12月14日の記事「フランスの早期音楽教育」の続きです。

 

数か月前、フランスの音楽ラジオ番組「フランス・ミュージック」のサイトや、テレビのニュース番組など複数のメディアで、ある保育園で行われている教育法が紹介されていました。

10年前に設立されたその保育園の名前は【CAP ENFANTS キャップ・オンフォン】。現在はパリ近郊をに数か所あるこの保育園は、2か月~4歳の子どもを受け入れており、設立以来この保育園では音楽を軸とした教育法を採用しています。

 

その教育の中心にあるのが、

 

「BULLE  MUSICALE ビュル・ミュジカル (音楽の泡)」

La Bulle Musicale est au centre des activités quotidiennes
La Bulle Musicale est au centre des activités quotidiennes, © Cap Enfance
🌸泡というよりも【音楽のかまくら】と命名したくなるフォルム!
(以下はキャップ・オンフォンのサイト、フランス・ミュージックの記事、ニュース動画から引用したものまとめたものです。)

2008年に国際特許を取得したこの9平方の半球体は、3年間の研究を経て完成された音響環境を備えており、幼児の聴覚を鍛え、聞く能力をそだてることを可能とする。

生れたときは0~16000ヘルツの幅広い周波数を感知できる子どもも、母国語に毎日触れることにより、やがて「母国語の持つ周波数専門の耳」を持つようになる。しかし、幼児期の音楽環境が豊かであればあるほど、子どもたちは様々な音を感知できる能力を維持することになり、そのことは、外国語のアクセントに敏感になるなど、学習開始年齢を問わず外国語学習に有益に働く

加えて、この園に通った子どもたちの高い記憶力、集中力、社会適応力が確認され、母国語能力(語彙力)においては保護者の職業に関わらず一般的な平均値よりも高い(平均値が10/19に対し 17/19)結果を得ており、また、神経科学の分野においてもこの教育法の有益性が認められた。

 

そうです。実は「音楽教育」ではありません。ですが、「音楽専門教育を受ける前に、家庭や保育園で様々な音や音楽を幼児期にできるだけ多く触れる事」というフランスの音楽教育指導要綱に明記されている事をそのまま実現している教育だと思います。最も大きな利点として、コンセルヴァトワールとは違い、幼稚園は毎日通う場所。つまり、子どもたちはほぼ毎日、良質な音楽環境が整った場所で一日の大半を過ごす事が挙げられると思います。

 

 

 

さて、この泡の中がどのような仕組みになっているかというと…

 

実は、そんなに複雑ではありません。子どもが壁の音符ボタンを押すと、音と映像が流れる、というシンプルな仕組み。音響・音質にこだわっている点と、【子どもが自ら音符ボタンを押すことで再生される仕組み】が重要なのでしょう。

それよりも、中に入ってみたくなりませんか?大人でもこのような空間に入るのってドキドキ、ワクワクしますよね!私が幼いころ、お友達と「秘密基地」と名付けた狭い空間を作り、その中でよく遊んでいたのを思い出しました。子ども心をくすぐる、どうしても入りたくなるような場所。

この教育が、幼児教育、音楽、音響技術、心理学それぞれの分野の専門家によって築き上げられたものだという事がよくわかります。

 

百聞は一見にしかず。フランスのニュース番組で放送された実際の映像をご覧ください。フランス語ですが、この『ビュル・ミュジカル』の中の様子を見ることができます。

3年間で子どもたちは1500の音を聞き分けられるようになります。

韓国、カナダ、日本が興味を持っているとのことですが、

日本に輸出されるそうです。

 

 

言語も、音楽も一緒。まずはそれらを受け止める器官である、聴覚の素地がその後の学習に大きく関係する。

幼児期は器楽や外国語学習の前にまず、子どもたちに出来るだけ豊かな音・音楽環境を整えてあげる事が大切なのだと改めて思いました。

 

こどもたちの生まれた環境を問わず、チャンスを平等に与えることができる。(保育園のサイトより)

 

言語のみならず、音楽教育の素地形成にも有益とされているこの「ビュル・ミュジカル」。日本のどこかで見かけた方は是非ご一報を!

 

 

 

終わりに…

この記事を最後に一年を締めくくりたいと思います。

2017年は、沖縄での講演会及び講座の開催により、沢山のかけがえのない出会いがあり、またその方々から多くの事を学ばせて頂いた一年でありました。この場を借りて改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。そして、このサイトを開設して1年半。訪問者数もさることながら、北は北海道、南は(当然!)沖縄まで、様々な場所から訪問してくださっているようでとても嬉しく思います。相変わらずの不定期更新ではありますが、今後もフォルマシオン・ミュジカルに限らず、

私の目から見たフランス音楽教育の今をお届けしていきたいと思っております。

どうぞ皆様、良いお年をお迎えくださいませ。

津覇 江利菜


Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です