ソルフェージュ改革直後…
『フォルマシオン・ミュジカル教員養成クラスの指導者』。彼女の教育者としての最終段階であり、最も重要な仕事であることは間違いありません。。オデットは当時54歳。すでにピアニスト、作曲家としての輝かしい経歴を持ち、教育者としても音楽家としても素晴らしい評価を得ていました。しかし、安定に留まるのではなく、常に前進し、自分自身に問い続け、信念に従う彼女は、同僚達のこのような言葉にも動じることはありませんでした。
❝なぜすべての変えたがるのか?あなたが今否定しているソルフェージュ教育は、これまでに多くの素晴らしい音楽家たちを育てていることで、その効果を証明している。あなた自身もその事を証明している良い例ではないか!ソルフェージュが先、音楽は後ですればよい!❞
こどもたちが調和のとれた音楽教育を受けられるように、やっと具体的に行動できる!オデットは熱意と確信をもって、「学ぶ側となり」再出発します。多くの教育書や児童心理学の書籍を読み、その時彼女はモンテッソーリ教育に出会い、熱心に研究します。「Methode Active メトード・アクティヴ (積極的教育、能動的教育)」にも興味を示します。(メトード・アクティヴとは、ダルクローズ、マルトノ、オルフ、ヴィレムスのような偉大な教育者によって生み出された、音楽教育法のことをいう。)
なぜなら、1976年から、二つの異なる音楽指導ディプロム(伝統的ソルフェージュとメトード・アクティヴ)が統合され一つになり、フォルマシオン・ミュジカル指導ディプロムとなったからです。
Evéil (エヴェイユクラス 幼児対象クラス)のために、私は様々な教育法を知るべく、いくつもの研修を受けました。これらメトード・アクティヴの教育法は私を夢中にさせ、夫のベルナールとそのことについてよく話しました。私たちの娘パスカルが小さいころにこのような教育を受けさせてあげられなかったことを残念に思っていますし、同様に、私自身が幼少期にその教育を受けられなかったことを残念に思っています…。
これらの教育法の専門家に定期的に授業を依頼し、それぞれのメソッドの使用方法を理解した後、自身の生徒達にもこれらすべての教育法から、それぞれの重要点をまとめさせます。そして1980年初めに、一つの教育法のスペシャリストではなく、舞踏と音楽の関係や児童心理に関心を持ち、総合的な指導をしているHenriette Canac アンリエット・カナック(ピアニスト、FM指導者)の、様々な幼稚園で行なわれている授業に定期的に参加します。オデット・ガルテンローブとアンリエット・カナック、この二人の数年間続いた共同授業は、当時指導ディプロム取得を目指す学生たちにとって、非常に有益なものでした。
❝私は子どもの頃、ソルフェージュとピアノを同時に学び、6歳から10歳まで、舞踏のレッスンでリズム・ダルクローズを学びました。「音楽作品の中で音楽を学ぶ」ことは私にとって、まるで天からの贈り物でした。生徒たちには呼吸法、空間を使用した身体の動きの他にも、内的聴感の育成を指導していました。
真の音楽からもたらされるもの(=音楽作品の使用)、そして身体を自由にすること(=身体の動きを使用)は、ソルフェージュ教育を一新させ、フォルマシオン・ミュジカルの誕生を可能にしたのです。❞
~ アンリエット・カナック 第30回FM指導者学会にて ~
ソルフェージュ改革から30年以上経ち③に続く。
※この記事は2017年発行の『Odette Gartenlaub (Jean-Michel Ferran著)』、FM指導者協会発行紙掲載記事、実際のインタビュー音源、ガルテンローブのFM教員育成クラス出身者数名からの証言を抜粋しまとめたものです。