フランスに帰る日が近づいてまいりました。
普通学校の新学期まで1週間をきり、勤務先の学校からメールが一通、また一通と届き、そろそろヴァカンス気分から脱しなければ、と思い始めています。でも実際にコンセルヴァトワールの授業が始まるのは17日の週から。カレンダーを確認しながら「本格的な準備は戻ってからでいいかしら~?」とのんきに構えています。
※※※※
……と書いて3週間以上も記事を放置し、もう戻っています、フランスに…笑。年度初めの会議、保護者一人一人とレッスン時間を決めるための面談を終え、多くのコンセルヴァトワールは9月18日からレッスンがスタートします。毎年風物詩のごとく事務室がてんやわんやしているのを見ると、どうしてもっと効率的に物事が進むようにオーガナイズができないのかしら、と不思議に思います。
さて、沖縄からフォルマシオン・ミュジカル便り①の続きです
講座Bは『ピアノ指導者のためのフォルマシオン・ミュジカル』。
フランスには「FMシンガー」「FMダンサー」などはありますが、「FMピアニスト」というのは存在しません。(※近年では同じ楽器群を一クラスとするFM授業が複数のコンセルヴァトワールで採用されています。) それぞれの器楽学習に合わせたソルフェージュ能力を育てるという視点で言えば、あった方が良い。ただし、FMの視点で言えばない方が良い、と私は思います。なぜなら。「FMピアニスト」と限定することによって学習楽曲・内容が偏る恐れがあり、様々な楽器学習者が同じクラスで学ぶことでもたらされる豊かさが失われるから。
ですが、日本の指導者により良くFMを理解してもらい、FMを実際にレッスンで取り入れてもらうためにはこの方法が一番わかりやすいと思ったので『ピアノ指導者のための…』とさせて頂きました。
本講座で最初に体験して頂いた「ワルツとメヌエット」では、出発点となる音楽作品は私がフランスで実際に使用している教材からの抜粋ですが、皆様に実践して頂いた課題はほぼすべて私のオリジナルのもの。なぜなら今回の講座はフランスにはない【FMピアニスト】である事、そして今はまだ私にとっての【完璧なFM教材はない】から。ちなみに実際にフランスでの授業でも教材にある課題をそのまま使わず、私なりにアレンジをして使用しています。
そういう風に言うと偉そうですが、それは私だけではなくFMの同僚たちも同意見。そういう意味で皆様に受けて頂いたFMは、
『私、津覇江利菜のフォルマシオン・ミュジカル』なのです。
FM教材に示されている順番や指導方法は、あくまでも多くある指導方法の中の「1指導法」。(フランスで出版されているFMの教材には必ずと言ってよいほど指導者用の本もあり、課題の指導方法が示されている事もあります。) ですので、皆様に講座中何度もお話したように、FMの授業内容はFM指導者のこれまでの指導や音楽的な経験等によって乏しくも豊かにもなり得る。そう、FMの授業の良し悪しはすべて、
FM指導者の手にかかっています!
そういう事もあり以前勤務していた県立のコンセルヴァトワールではFM教材は一切なく、共通の音楽作品を使用して指導員各々で課題を作成する方法をとっていました。まさに講座Bの最後に受講者の皆様に「ブルグミューラーのアラベスクからFMのレッスンを作成してみましょう」で実施して頂いたような事を毎週していたわけですが、レヴェルによって扱う楽曲が違うため、当時はかなりの時間をかけて授業の準備をしていたことを覚えています…。
少人数で3時間。できる限り多くの事をお伝えしたく、皆様の疑問にお答えしたくそのようにさせて頂きましたがそれでも時間が足りなかった。皆さん一人一人ともっとお話がししたかったですし、FMを実際に取り入れるための方法や可能性についても、もっと意見交換をしながら探りたかった。来年の講座開催のために検討しなければいけませんね。
さて、今年の夏の講座で学んで頂いた事を無駄にしないために、
是非FMを実践して頂きたい!
「FMと言えるのかはわからないけど、講座で教わったことを少しだけ取り入れてみた…」と申し訳なさそうにおっしゃる方もいますが、最初はそれで良いのです!大切なのは、まず出来そうなことから始める事。
実践してみると疑問に思う事や、思うようにできない…等という壁が絶対に待っています。そこで、先生方をサポートする方法を現在考えております。フランスからどうやって??
そう、インターネットという便利なものがある時代、
フランスと日本の距離なんて関係ありません!!
詳細については後日お知らせいたしますのでお楽しみに~!
※ 記事最初の写真は沖縄県立開邦高等学校での講話の様子。私の留学体験談に真剣に耳を傾ける音楽コ─スの生徒達。終了後に生徒たちが提出したアンケートの内容に「私の役割」を改めて再認識させられました。