番外編 「フランス日常生活便り」

今回は番外編「フランスの日常生活便り」。

ということで音楽とは全く関係ありませんのであしからず!

 

 

平日は電車で移動するとき以外は一日中室内で過ごすことが多いので、お休みの日はなるべく外に出て自然に触れるように心がけています。

 

先日の日曜日は畑で野菜収穫。 残念ながら自分の畑を持っているわけではありません…。

パリ郊外20箇所に野菜農園があり、好きなときに季節の野菜、果物、花を自由に収穫できます。私が行った日は一日中雨が降っていたにもかかわらず家族連れで賑わっていました。それもそのはず、この日は今年最後の開園日。翌日から来年の4月、チューリップが咲く季節の再開園の日まで楽しい収穫はお預けです。

 

 

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畑に入って自ら収穫するには時間が掛かりそうだったのですでに収穫済みの野菜から選択。この時期(11月)のN°1はなんといってもかぼちゃ。大小のかぼちゃがあちらこちらで山積みにされていました。

 

 

 

 

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収穫した野菜をお会計。今回は栗かぼちゃ、リンゴ、キャベツ、なす、バターナッツ、そして人生初の根セロリを購入。お手ごろなお値段で新鮮なお野菜が手に入ります。そして毎回お会計の際についつい手にとってしまうのがこの農園で採れたリンゴのジュース。自然な甘みでとても美味しいんです!

 

 

 

 

畑を後にして併設されている屋内市場へ。野菜や果物、隣の作業所で加工しているチーズ、ヨーグルト、そして地方の名産品、お酒などがずら~っと並んでいます。

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ちなみに私が必ず購入するのはここの農場産牛乳とチーズ、そして大好きなコルシカ島名物、豚のレバーソーセージ「フィガテル」。フランス人は苦手な人も多いらしいのですが、私はレバー臭のする、癖のあるこのフィガテルが◎!

 

 

 

 

パリに来た際にはキッチン付アパルトマンホテルで滞在して、こういう市場や農園で購入したフランスの野菜や地方の名物を楽しむのも良いかもしれませんね。

 

第32回 フォルマシオン・ミュジカル指導者学会を終えて

 

 

 

 

第32回 フォルマシオンミュジカル指導者学会 ③ の続きです。

学会全日程を終えパリに戻る電車の中で、参加した勉強会のことを思い出しながら同学会に参加していた我が恩師にメールを送信。その内容は大人気のアトリエの内容についての疑問、というかどちらかというと納得の出来なかった点の羅列。

この小娘は(年齢的な小娘という意味ではなくもちろん経験値においてです!)と思われていそうですが、そのアトリエに参加した先生方と意見を交わしても好意的な感想ばかりで納得がいかず、つい…。

 

 

このようにすべてにおいて満足したわけではありませんが、私にとって大切なのは勉強会で何を学んだか以上に、学会期間中に経験した事すべてが自身の指導について改めて考えさせられるきっかけになっている、ということかもしれません。

 

 

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学会の雰囲気はというと、堅苦しいものではなくお勉強の時間以外は皆リラックスモード。休憩時間はコーヒーを片手におしゃべりに夢中になり、次の勉強会開始時間ギリギリまで動かない人も。

5分前行動という考えはフランスには存在しないのでしょうか?笑 どちらにしてもうちなータイムの私には親しみやすい環境ではありますが。(もちろんフランス人にもちゃんとしている人はいますので、誤解のないように!)

昼食、時に夕食も共にし、音楽はもちろんのこと各々の職場での問題、生徒、ワインや料理の話まで話題が尽きることはありませんでした。初めて学会に参加したというある指導1年目の若い教師が「経験豊富な先生方やこの学会を仕切っている教授陣みんなとても話しやすいわ!」と驚いていました。実際、指導暦の長い先生方が初めて学会に参加している教師達に積極的に声を掛けるなど気を配っている様子を何度も目にしました。これも若い指導者が参加しやすい学会を心がけているからだと思います。

 

このように学びの場でもあると同時にFM教員同士の交流の場でもあるFM指導者学会。あらゆる面で批判されやすい立場にいるFM教員ですが、「生徒達により良い音楽基礎教育を」と同じ目標をもって奮闘している仲間がフランス全土から集まるこの学会はFMをフランスの音楽教育からなくさないために、今後の音楽基礎教育発展のためになくてはならないものとして捉えられています。

 

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第32回 フォルマシオン・ミュジカル指導者学会 ③

第32回 フォルマシオン・ミュジカル指導者学会 ② の続きです。

 

 

 

 

空き時間を利用してモンペリエの観光名所のひとつ、サン・ピエール大聖堂に訪れたときのこと。幸運なことにオルガンによる即興演奏のマスタークラスが開催されていました。

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Sergio Militello氏による マスタークラスの様子

 

初めて訪れる大聖堂でオルガン演奏が聴けるうえに、普段なかなか見ることのできないオルガンのマスタークラスを聴講できるなんて!と、その後は空き時間がある度に大聖堂へと出向いていました。

 

 

 

 

 

さて、学会の続きは最終日の朝に行われた『討論会』について。

『討論会』に参加するためにはまず希望するテーマを扱うグループに登録しなければいけません。参加者全員の発言が求められるのでここでも人数制限があり、一番人気のテーマ『FM授業内の専攻楽器使用』のグループは即満員となりました。

ちなみに私は『どのタイプの評価?』に登録。(このブログを立ち上げて以来常に思っていたことですが、フランス語を的確な日本語訳にするのが本当に難しい!)

 

各々が指導している音楽学校で採用している評価方法について紹介し、疑問点や問題点を指摘し合いながら意見交換をする75分の討論会。話題は評価方法から試験内容、ソルフェージュにまで及ぶなどテーマから外れる事も多々ありましたが、他校のFMの現状を知る上では大変貴重な時間でした。

 

 

 

 

※ 記事中の「FM」とはフォルマシオン・ミュジカル 「Formation Musicale」 の頭文字を並べた略語で、どちらかと言うと口頭では「FM」と言う方が一般的です。ちなみにフランス語では、単語の前に冠詞がつくので「La F.M.」 ラ・エフ・エム となります。音楽家同士では100パーセント通じるこの教科名も一般的にはまだ浸透していないようで、コンセルヴァトワールに通う子供たちやその親御さん達ですら「フォルマシオンミュジカル」ではなく、未だに「ソルフェージュ」と言っているのをよく耳にします。

 

第32回 フォルマシオン・ミュジカル指導者学会を終えて へ続く

第32回 フォルマシオン・ミュジカル指導者学会 ②

第32回 フォルマシオンミュジカル指導者学会 ① の続きです。

 

 

 

フォルマシオンミュジカル指導者学会二日目からは、あらゆる分野に関する【参加型研究会】が午前と午後の2回開催されます。

 

 

【参加型研究会】とは?

 

 

それはフランス語でAtelierアトリエと呼ばれるもので、各学習テーマ、メソッドに精通した指導者(FM指導者に限らず)が1時間半アトリエを受け持つのですが、アトリエ参加者のFM教員達は実際に生徒の立場になり、実践しながら指導方法や新しいメソッドに触れることができます。

 

今回は5~6歳児クラスの指導法、身体を使ったリズム学習のための新メソッド、イントネーション学習などが開催されていました。

 

3日間でFM指導者達は9つあるアトリエの中から希望するものを5つ登録できるのですが、各アトリエは定員数が決まっているため人気のアトリエは争奪戦となります。が、万が一受講したいアトリエに一登録できなかったとしても、今回開催されたすべてのアトリエの内容をまとめた報告書が後日配布されるので安心!

 

 

もちろん実際に体験した方が断然良いとわかっているからこそ皆さん必死なんですけどね…。

 

 

 

これら【参加型研究会 Atelier】以外の時間は、講演会や音楽関係施設の見学、コンサート、討論会などがプログラムに組み込まれているのですが、ここで音楽関係施設の見学から一つご紹介します。

 

 

中世の写本譜が所蔵されているモンペリエ大学医学部見学へ。

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ヨーロッパ最古の医学部

 

 

突然奏でられた音楽によって建物の中に導かれる私達。

 

 

建物の中でも引き続き演奏会が行われた後、見学の直前に行われた講演会を担当したモンペリエ大学の教授が保存されている写本譜について詳しく説明して下さいました。

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第32回 フォルマシオン・ミュジカル指導者学会 ③ へ続く。

 

 

 

※ 記事最初の写真はモンペリエ大学医学部建物中での演奏会の様子。

 

第32回 フォルマシオン・ミュジカル指導者学会 ①

フランスの公立学校は11月20日から2週間の秋休みに入りました。

 

私はヴァカンス初日、早朝電車で地方へと出発。

 

《第32回 フォルマシオン・ミュジカル指導者学会》 に参加してまいりました。

 

学会に参加する為に、毎年フランス全土からフォルマシオンミュジカル指導者が集います。地方や勤務するコンセルヴァトワールの異なる指導者同士が知り合い、情報交換ができるとても貴重な場所です。

 

開催地は毎年パリ(パリ近郊含む)と地方を交互に選ばれるのですが、なぜか2年連続で地方開催。今年ははパリから電車で4時間程のところにある南仏、モンペリエでの開催。

 

パリのどんよりとした曇り空とは打って変わって南仏らしい晴天!これから待ち構えている密度の濃いスケジュールを前にしばし観光客気分を満喫。

 

 

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コメディー広場 (正面建物はオペラ座、その手前が三美神の噴水)

 

 

今回の学会は【フォルマシオン・ミュジカル学科におけるさまざまな音楽美学】をテーマとし、講演会、あらゆる分野における参加型研究会に加え、会議、公開授業、生徒たちによるコンサート、オペラ座訪問、教育テーマ別グループ意見交換会、、、などがみっちりと組まれている4日間です。

 

 

1日目は本学会テーマに沿った講演会、FMクラスの生徒たちによるコンサートを鑑賞した後におつまみを食べながらのワイン試飲会、という流れ。

 

学会の内容に関係のないワイン試飲会を組み入れるところが、さすがフランス 笑。とても美味しいワインがあったのにも関わらず、帰りの荷物の重さを気にしてなにも購入しなかったことをとても後悔しています…。

 

 

さて、二日目から本格的に勉強会が始まるわけですが、続きは 《第32回 フォルマシオン・ミュジカル指導者学会 ②》 にて。

 

 

※ ページ最初の画像はFMクラスの生徒、サクソフォーンアンサンブル、ピアノ、ハープ、打楽器による映画をテーマとしたコンサートの模様。FMクラスの生徒は主に合唱団としての参加で、楽器演奏は上級課程の学生達によって編成されていました。このような学習レヴェルの異なる学生達によるコンサートを通じて、音楽教育初期段階の子供達は『本格的な生演奏との競演』を経験し、音楽的経験が豊かになるのだ、と改めて感じさせられました。なによりも、上級生の格好良い演奏は子供達にとって身近な目標にもなり得て、学ぶ上で最も大切なモチベーション向上に繋がる事は間違いないでしょう。

フォルマシオン・ミュジカル教員の研修

音楽・舞踏教員の為の研修と言ったらココ!

 

『ARIAM アリアム』

 

フランス文化通信省の協力の元運営されている文化的組織です。

毎年様々な研修、講演会がパリとパリ近郊の学校で行われます。

 

 

こちらが2016‐2017年度の冊子。

 

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今年は100近くの研修が開催されるようです。

受けたい研修がいくつもあって付箋だらけ…。

 

 

開催される研修が『授業に役立つ通信と情報テクノロジー』、『学校運営(学校長向け)』、『複数学科関連(音楽・演劇・舞踏)』、『世界の音楽と舞踏』、『児 童と青年期の学習指導』、『アンサンブルと即興実践の教育学』、『指導者による教育的企画』、『アンサンブル指導』…などとカテゴリー別にわけられていま す。

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それぞれに対象教員が記されていて、フォルマシオン・ミュジカル教員向けとされている講座には『音楽から音楽を学ぶ』、『声を使った遊びから作曲へ』、『作曲クラスとFMクラスの関係構築』などがあります。

 

 

 

無料の講演会もありますが、有料の場合は学校側に申請し、雇用主の許可が下りれば費用は雇用主全額負担で受けられる仕組みになっています。申請数が多すぎて却下されることもありますが、どうしても受講したい場合は自費で、または来年再申請することも可能です。

 

 

嬉しいことに今の私に最も必要な『学科主任向け』の講演会が無料!

 

 

 

その他の有料の研修がいくつ受理されるのか…楽しみです。

 

フランス公立音楽学校存続危機?!

新学期を目前とする中、France Musique (クラシックラジオ番組)のサイト掲載記事から一つ。

 

前置きしておきますが、暗い話です、、、笑。

 

実はフランスの公立音楽学校が存続危機にあります。

と言ったら大げさに聞こえるかもしれませんが、この状況からそうなることを想像せざるを得ません。

「2017年に予定されていた音楽教員採用試験が再び延期!」

いわゆる音楽教師の地方公務員採用試験です。この試験に受かると音楽教師は本採用となり色々な面で安定が保障されます。

 

なぜ署名運動が起きるほど今回の試験延期が問題視されているのか。それは、2011年以来採用試験が開催されていないことが理由に挙げられます。つまり2011年以降音楽教師は正規雇用になる権利さえも与えられていないわけです。

 

私自身フランスで働き始めて9年になりますが、音楽家を取り巻く状況が年々厳しくなっている、と感じています。以前はよくあった残業手当のようなものはここ数年来一切なくなり、同僚の授業時間数が予告なしに削られたり、少ない生徒数のクラスが廃止になったという話を耳にしたり、最近ではあらゆる理由をつけて器楽の個人授業を廃止し、よりお金のかからないグループ授業への動きも見られたり、、、。

 

正規雇用を減らすということはこのように役所の思い通りに事が進みやすくなることを意味します。

 

学生を終えてから教師になるために試験、また試験と受け続け、やっと指導者としての資格を得ても正規雇用の道は程遠く…。このような現状からプロの音楽家になりたいと希望する学生は少なくなってきている、と記事の中で現役教師が述べています。

 

財政難の打開策の一つとして音楽学校への登録料値上げの話も聞こえますが、それでは経済的な理由で音楽が学びたくても学べない、という不平等を生む結果に繋がり『すべての国民が音楽専門教育を受ける権利』という他国にはない利点を失うことになりかねません。

 

今私たちにできることは反対、不満の声を上げ続けること。何も変わらないかもしれませんが、今回の署名運動のように一人一人が『意思を示すこと』が大切だと思います。

 

 

フランスの公立音楽学校の新学期

日本滞在約1ヶ月。

 

Assomption 《聖母の被昇天》というカトリックの祝日を含んだ3連休を利用してのピカルディー地方への小旅行を経て、

 

私はやっと重い腰を上げて2016-2017年度の新学期の準備に取り掛かることにします。

 

この機会に少しだけフランスの公立音楽学校の新学期について説明させて頂きます。

 

今年のフランスの公立学校の新学期は9月1日木曜日ですが、音楽学校の新学期は大体その2週間~3週間後。音楽学校によって異なります。

 

私の場合は今年度から3つの音楽学校で働くことになった為(意に反してそうなってしまった経緯はまた後日…)、3回新学期を迎えることになります。

 

新学期までの流れは学校によって様々ですが、大体の学校で新学期前に全教師対象の会議が行われます。そしてその翌週にはそれぞれの教師と保護者の面談が個別に組み込まれていますが、面談といっても長々とお話しするためのものではなく、器楽レッスンの曜日及び時間をこども達の学校の時間割や他の習い事の時間を考慮しながら決めるためのものです。

 

既におわかりのように、FM【フォルマシオン・ミュジカル】教師陣にとってこの面談が行われる週は小休止です。(その後1年間続くFM授業の準備を考えたらこの小休止は当然だわ!と思う私はフランス人の思考になってしまったのでしょうか…笑)

 

 

面談の週を終え、いよいよ子供達にとっての新学期が始まります。

 

 

※ 画像はフランス国民教育省から発表された地域別(A・B・C)の休暇と新学期の日程表。パリはCゾーン。来年2017年の夏休みは7月9日からなんて遅すぎる、とこれを見た(私を含む)多くの教員たちは不平不満を述べています。年間通して3ヶ月半のヴァカンスがありながら不満を言うなんて!とのお叱りの声が聞こえてきそうですね…。