沖縄タイムスエッセー「たんぽぽのタネ」④ 感じる「不便の必要性」

私の第4回目のエッセーが1月24日付の沖縄タイムス教育面に掲載されました。

 

 

 

《感じる「不便の必要性」》

 

「なんて不便な国!」。これが渡仏当初の私の口癖だった。多くのお店は平日の昼食時は閉まり、夜7時頃には営業終了。日曜祝祭日ともなると、“特別”に開いているお店を探さなければならない。その他にも不自由さが重なり、ストレスを感じることが多かった。

あれから13年。当時より改善されてはいるが、利便性は今も日本とは雲泥の差だ。しかし、今の私に昔のような不満をはない。慣れたというより、ある程度の「不便の必要性」を感じているからだ。

私の職場の公立音楽学校では、休暇前になると、同僚たちの間で必ず「休暇中の予定」について話題になる。家族と旅行へ、両親に会いに、など過ごし方は人それぞれだが、共通していることがある。それは、「完全に仕事から離れる」ということである。

大人だけではない。フランスで働き始めたころ、「休暇中は宿題はないでしょ?」と当たり前のように聞いてきた生徒たちに驚かされた。だが休暇後の彼らのリフレッシュした様子、その後の授業中の態度を見ていると、次第に私は「仕事(勉強)と休息のメリハリ」は必要だと思うようになった。そして、休息によって生まれる不便さは、結果、労働者の働きやすさにつながるのでは、と考えるようになった。

ただ、これが自分のこととなると別だ。私は休暇中もなかなか仕事から離れられない。「休むことへの罪悪感」とでも言うのだろうか。精神科医の友人は「精神の健康上良くない」と忠告してくれる。私なりに努力はしているが、日本の24年間で作り上げられた思考を書き換えるのは容易ではない。

(フランス公立音楽学校教諭、フォルマシオン・ミュジカル専門)

 

 


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