フランス:本当に「誰でも」音楽専門教育が受けられるの?

 

 

 

 

フランスの音楽教育はなんて素晴らしいのだろう!!幼少期から地域の公立音楽学校に通えて、楽器も、フォルマシオン・ミュジカルも合唱も、室内楽も、その他にも音楽に関する専門的な事がいろいろ学べる!夢のような国!!!!」

 

私が渡仏当初思っていたこと。そして今もそう思っています。子どもの時から通える公立の音楽専門教育機関が日本にもあれば、と。

 

しかし、フランス各地にあるこの《コンセルヴァトワール》に通えるチャンスは、【すべてのこどもに】平等に与えられているわけではありません。

 

登録料は下記↓のように、各家庭の収入に応じた金額を支払うことになっているため、誰もが通えるようになっていますが、当然のことながら入学後は、教材・楽譜・楽器の購入(これが一番大きい!)のための費用がかかります。(※初心者は学校から楽器レンタル可。)

コンセルヴァトワール年間登録料の一例

 

 

加えて、小さい子を持つ親御さんたちは、週に多くて3回《器楽レッスン・合唱・フォルマシオンミュジカル》の送り迎えもしなければならず(ベビーシッターに依頼すれば、ここでも費用がかさむ)、現実は「時間的・精神的・経済的余裕がない家庭の子供たち」にとっては、「コンセルヴァトワール」はまだまだ遠い存在です。

 

私はこの現実を、フランスで働き始めるまでは全く知りませんでした。

 


 

でもこの国は凄い!!

なぜなら、真の「文化の民主化」実現のために動いているから。

 

 

国、地方自治体、演奏家、音楽指導者、学校、地域の社会福祉施設、企業、、、

こどもたちのために、公的機関やあらゆる分野の専門家が協力して作り上げているものがあります。

 

 

「オーケストラ・デモス DEMOS」

 

 

2010年に『パリ・フィルハーモニー』のプロジェクトとして発足したオーケストラ。2018年の現在はフランス各地で33ものオーケストラが活動しています。参加は無料。楽器は子どもたち一人一人に『贈呈』されます。贈呈式の様子☟

 


子どもたちの嬉しそうな表情、大切に楽器を扱う様子、『嬉しすぎて今晩は眠れないわ!』と言っている女の子もいます。

 

子どもたちは3年間、週に二回の計4時間のレッスン+ヴァカンス期間中の研修、そして6週間ごとののオーケストラ合同練習に参加し、年度末にはコンサートホールで演奏します。その様子はこちら☟

 

プロの演奏家と共演し、誇らしい表情をみせる子どもたち。

友人が指導者の一員としてデモスに参加しているのですが、DEMOSを卒業した子どもたちの中には、コンセルヴァトワールで音楽を学習し続ける子もいる、(全体の40パーセント) とのこと。

 


 

驚くことなかれ、このような活動をしているのは「オーケストラ・デモス」だけではありません。

 

 

『音楽アカデミー・フィリップ・ジャルスキー』

カウンターテナー歌手のフィリップ・ジャルスキーが発起人であり会長でもあります。「自身が子どもの頃に経験したように、すべてのこどもたちに、クラシックと出会うチャンスを与えたい」と。

こちらは出来立てほやほや。音楽ホール 「セーヌ・ミュジカル」(詳しい記事はコチラ) のオープンと合わせ、2017年に第一期生を『プロモーション・モーツアルト』と命名し、7歳から12歳のこども達、約30人を無料で受け入れています。普段いろいろな理由で音楽から「遠い」場所にいるこどもたちを対象とし、「クラシック音楽の民主化」を目的としている、という点では先ほど紹介した「オーケストラ・デモス」と同じですが、こちらでは子ども二人を1グループとして、週2回x1時間という、より個人レッスンに近い形で、ヴァイオリン、チェロ、またはピアノを学びます。楽器の種類が増えるのはきっとこれからなのでしょう。

 

 

 

この音楽アカデミーの特色は他にもあります。実は、受け入れているのは子供だけではありません。『若い才能ある演奏家』のために、❝プロフェッショナルの世界に仲間入りするため❞の手助けもしています。

選抜オーディションの様子☟

 

今週は研修生の公開マスタークラスが無料で開催されているので、ピアノ部門を聴講してきました。

D.Kadouch氏のマスタークラス

研修生は個人や室内楽のレッスンの他に、年に数回のマスタークラス、そしてセーヌ・ミュジカルでのコンサートが予定されているとのこと。子どもたちにとって「プロを目指す若い演奏家」を間近で見ることは大きな刺激になるはず!音楽のプロもアマも関係なく、上はより高く、幅はより広く、隅々まで行き届くような、そんな音楽教育の実現をフランスは本気で目指していると感じます。

 

 

またこれらの活動は、「音楽」を通してこどもたちに『外の世界を見せる』機会を与えています一人の人間が「自分の生活行動範囲内」で経験できる事、出会える人は限られている。だから自ら動かないかぎりその「外」を知ることも、新しい経験をすることも難しい。ましてやそれが「子ども」であれば、そのチャンスの有無は彼らの家庭環境によって決まるはず。困難な状況に置かれている家庭の子どもたちに、『社会全体が協力して手を差し伸べる』ことがいかに必要で、大切な事か、、、、考えさせられました。

 

 


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